発達保障をめざす理論と実践応援プロジェクト

実践現場で働いている方たちを念頭に書き綴ります。間違いに気付いた時に修正・削除できるようブログでのみ公開。資料は自由にお使いください。

社会ネタ~田村智子の政策動画「非正規から正規への転換は可能なのか」(3分間のショート動画)

・長く続く仕事は、長く続けられるルールにしよう。 ・誰もが8時間働けば、まともに暮らしていける社会にしよう。 ・人にこそ国の経済を発展させる力がある。 非正規から正規雇用への転換。必要な予算は1.9兆円 非正規ワ-カ-の待遇改善で経済発展できる…

階層と段階の視点⑳ 「可逆操作」をめぐる実践に関わるいくつかの論点  領域普遍性論と発達のズレ、出現順序の普遍、可逆操作は「中核機制」なのか

「可逆操作」をめぐる実践に関わるいくつかの論点 領域普遍性論と発達のズレ、出現順序の普遍、可逆操作は「中核機制」なのか 山田優一郎(人間発達研究所会員) 本ブログで説明してきた可逆操作は、次のとおりです。 表1 可逆操作(基本操作、媒介、差物) …

階層と段階の視点⑱ 2次元可逆操作期の自己実現~相互浸透によって高次から提供される文化 の継承活動

2次元可逆操作期は、どんな活動で産物を獲得してきたか~障害児教育実践への示唆 山田優一郎(人間発達研究所会員) はじめに 本ブログで2次元可逆操作期は、➀想像世界を認識できる力で②眼前にない全体を想像しながら、部分を操作する活動(媒介)によって…

階層と段階の視点⑰ 可逆操作の相互浸透~ 1次元から2次元へ

可逆操作の相互浸透 1次元から2次元へ~障害児教育実践への示唆 山田優一郎(人間発達研究所会員) 「対立要素は、相手に影響をおよぼし、その作用を浸透させあっている。」古在由重企画、森宏一編(1971)「哲学辞典」.青木書店 相互浸透とは何か。…

階層と段階の視点⑯ 図解 量から質への転化(原動力の発生)~飛躍に必要な「量」は可視化できるか

量から質への転化(原動力の発生) 山田優一郎(人間発達研究所会員) 「発達段階を示す質の存続と結合した量の規定性について、漸進的に行なわれる量的蓄積をもとに、一定の限度をこえると新しい質の獲得にもとづく飛躍的移行が進む」 田中昌人(1980)「…

読後感想 田中昌人著「人間発達の科学」の「矛盾」について(続き) ~「内」と「外」、新しい発達の原動力への影響

「新しい発達の原動力」 ―――その話しが難しすぎる原因を考えてみた 山田優一郎(人間発達研究所会員) はじめに 前回までのブログで見てきたように田中は、能力である交流(交通)の手段の発展を「外部(人と人との関係)」の矛盾として説明した。それは、歴…

読後感想 田中昌人著「人間発達の科学」における矛盾についてついて(補足)~古い交流(交通)の手段「桎梏」(しっこく)論は誤り

「関係」の発展と、つながる「手段」の発展 ――前回ブログの後半で、気がついたことをまとめてみた 山田優一郎(人間発達研究所会員) 補足の前座(前回の続き) 個体の「内」と、個体と他者とのつながりの「中」は同一ではないわな。「内」と「外」なんやか…

読後感想 田中昌人著「人間発達の科学」における矛盾について~「内部矛盾」、それはどこの「内部」なのか 

「内部矛盾」、それはどこの「内部」なのか 山田優一郎(人間発達研究所会員) 田中は「人間発達の科学」において次のように宣言している。 「教育作用を含む外部要因は、発達の条件であり、発達の原動力は、内部諸矛盾である」(P176) これが、発達の…

階層と段階の視点⑭ 「階層-段階理論」(超訳)による知的発達と人格発達の統一的理解

人格発達と「階層-段階理論」 山田優一郎(人間発達研究所会員) たった10年の研究でピアジェと並び、今でも世界に影響を与え続けている天才ヴィゴツキ-。ヴィゴツキ-は、知的発達と人格的な発達について次のように記述しています。1) 「子どものあら…

読後感想 田中昌人著「人間発達の理論」における対称性の原理について(2)

田中昌人の「対称性原理の展開」と「破れ」 山田優一郎(人間発達研究所会員) 1.「対称性の展開」と「対称性原理の展開」 田中は、発達検査(以下「実験」におきかえる)の結果をもとに、幼児期の内面の発達過程を「対称性原理の展開」によって説明しよう…

読後感想 田中昌人著「人間発達の理論」における対称性の原理について(1)

「対称性原理とその発達的破れ」に関する記述 (97P)について(1) 山田優一郎(人間発達研究所会員) 小林(2009)は、物理学における対称性を次のように定義している。 「自然法則の対称性は、ある対象に対してある変換を行った時、その自然法則が変…

階層と段階の視点⑲ 職場で使える「可逆操作」~はじめて障害児の教育(保育)へ携わる皆さんへ

学問的なことばから実践的ことばへの変換 ~「今、持っている力」に働きかける~ 山田優一郎(人間発達研究所会員) 本ブログでは、人が赤ちゃんから大人になるまでの仕組みの概要をざっと超訳してきました。その際の肝(きも)になるのが「可逆操作(かぎゃ…

階層と段階の視点⑮ 超訳「新しい発達の原動力」~それはどうしたらわかるのか。それは障害児の教育実践にどんな視点を与えるのか

「新しい発達の原動力」の実践的理解 山田優一郎(人間発達研究所会員) 田中が発見した発達をひきおこす原動力の中に「新しい発達の原動力」1)というのがあります。「新しい発達の原動力」とは何か。まず、私が辿りついた結論を紹介します。生後第3の新…

階層と段階の視点⑬ ヒトはどのようにして、大人になるのか~「可逆操作力」と「可逆操作関係」による説明

ヒトはどのようにして、大人になるのか 超訳「階層-段階理論」 山田優一郎(人間発達研究所会員) はじめに 可逆操作とは何か。 「外界の世界をとり入れ、新しい活動をつくりだし、それを自らの内面にとりこんでいく際の基本操作」田中昌人(1990)「人…

階層と段階の視点① 発達の階層、段階という視点(はじめに)

発達の階層、段階という視点 山田優一郎(人間発達研究所会員) はじめに 「人間社会のありとあらゆるところには、自然発生的あるいは人為的な階層構造が形成されている。この社会の階層構造と同じように生物・非生物を問わず自然界にも自発的に形成される階…

階層と段階の視点④ 中世・近世日本の若者教育に学ぶ2次変換可逆操作~「基本操作」と「媒介」及び「産物」

2次変換可逆操作 「基本操作」と「媒介」及び「産物」 山田優一郎(人間発達研究所会員) 日本において中学校のはじまり(旧高等小学校)は、実に1907年1)から今も、100年をこえてなお12歳、13歳です。人々が100年をこえてなお12歳、13歳…

階層と段階の視点⑫ 新しい発達の原動力と「エネルギー保存則」 ~「生後第2の新しい発達の原動力」は、何と何を保存しているか 

対称性の原理から見えてくるもの 新しい発達の原動力と「エネルギー保存則」 「生後第2の新しい発達の原動力」は、何と何を保存しているか 山田優一郎(人間発達研究所会員) 「エネルギーは、無から生じることも、なくなることもない。『エネルギー保存則…

階層と段階の視点⑪ 対称性の原理によって説明できる 「生後第2の新しい発達の原動力」

見直し途中! 「生後第2の新しい発達の原動力」を対 称性の原理で説明してみた 山田優一郎(人間発達研究所会員) 「私たちが法則を発見できるのは、自然界に対称性があるからだが、それだけでなく、自然のもつ階層性のおかげである。」(板東昌子1996…

階層と段階の視点⑩ 「生後第3の新しい発達の原動力」は、存在するか~「対称性の原理」による説明

「生後第3の新しい発達の原動力」は、存在するか~「対称性の原理」による説明 山田優一郎(人間発達研究所会員) 田中(1987)1)は、対称性の原理によって「生後第3の新しい発達の原動力」の発生を説明した。物理学における運動は、人間発達におい…

階層と段階の視点⑨ 自然界の法則「対称性の原理」によって「自制心」の誕生は説明できるか

対称性の原理によって、 「自制心」の誕生を説明してみた 山田優一郎(人間発達研究所会員) 物理学は、自然現象を学問の対象としている。人間も、自然の一部であり、物理学が明らかにしている一般法則によって、人間の発達も説明可能である。 1.すべての…

階層と段階の視点⑦ 3次元可逆操作の「基本操作」と「媒介」及び「産物」

見直し作業中! 3次元可逆操作 「基本操作」と「媒介」及び「産物」 山田優一郎(人間発達研究所会員) 次元のの階層(幼児期)は、1次元→2次元→3次元と認識できる世界をひろげていく階層でした。「大きい・小さい」から始まったふたつの世界は、4才の…

階層と段階の視点⑥ 寺小屋時代に学ぶ2次元可逆操作~「基本操作」と「媒介」及び「産物」

2次元可逆操作 「基本操作」と「媒介」及び「産物」 山田優一郎(人間発達研究所会員) ―――寺子屋は、庶民の子どもが読み・書きの初歩を学ぶ簡易な学校であり、江戸時代の庶民生活を基盤として成立した私設の教育機関である。寺子屋は江戸時代中期以後しだい…

階層と段階の視点⑧ 1次元可逆操作の基本操作・媒介・産物~本質への接近[可逆操作は、認識できるのか]

1次元可逆操作 「基本操作」と「媒介」及び「産物」 山田優一郎(人間発達研究所会員) 「階層-段階理論」の階層・段階表において、「次元」「変換」と名付けられているのは、階層(年齢期)の発達の質を表すことばです。幼児期の階層は「次元」でした。こ…

階層と段階の視点③ 中世・近世日本の若者教育に学ぶ1次変換可逆操作~「基本操作」と「媒介」及び「産物」

中世・ 近世日本の若者教育に学ぶ「可逆操作」~1次変換可逆操作 山田優一郎(人間発達研究所会員) はじめに 前回、「3次変換可逆操作」について検討しました。それは、①事象を特殊概念に変換できる思考で、②アイデンティティを発揮する活動によって③豊か…

階層と段階の視点⑤(2次変換可逆操作の続き) 軽度知的障害児の教科学習について

軽度知的障害児の教科学習 はじめに 12・13才(小6・中1年生)頃からの段階は、 ①「なぜなら」数回思考で ②いくつもの変化する環境にいくつもの段取りで働きかけ ③二重に抽象化された概念を形成していく年齢期でした。 ④そして、①は②③の間で可逆しなが…

階層と段階の視点② 青年期(15・6才頃から)の可逆操作X を探せ!~3次変換可逆操作の「基本操作」と「媒介」及び「産物」

青年期の「可逆操作」X を探せ! 山田優一郎(人間発達研究所会員) 1.大きな階層の中に三つの段階があるとする田中の発達の捉え方1)は、教育実践にいくつかの示唆を与えます。天野清(1979「教育心理学試論」)2)は、思考の発達がどの段階にあり、…