発達保障をめざす理論と実践応援プロジェクト

実践現場で働いている方たちを念頭に書き綴ります。間違いに気付いた時に修正・削除できるようブログでのみ公開。資料は自由にお使いください。

2022-01-01から1年間の記事一覧

階層と段階の視点⑭ 「階層-段階理論」(超訳)による知的発達と人格発達の統一的理解

人格発達と「階層-段階理論」 山田優一郎(人間発達研究所会員) たった10年の研究でピアジェと並び、今でも世界に影響を与え続けている天才ヴィゴツキ-。ヴィゴツキ-は、知的発達と人格的な発達について次のように記述しています。1) 「子どものあら…

読後感想 田中昌人著「人間発達の理論」における対称性の原理について(2)

田中昌人の「対称性原理の展開」と「破れ」 山田優一郎(人間発達研究所会員) 1.「対称性の展開」と「対称性原理の展開」 田中は、発達検査(以下「実験」におきかえる)の結果をもとに、幼児期の内面の発達過程を「対称性原理の展開」によって説明しよう…

読後感想 田中昌人著「人間発達の理論」における対称性の原理について(1)

「対称性原理とその発達的破れ」に関する記述 (97P)について(1) 山田優一郎(人間発達研究所会員) 小林(2009)は、物理学における対称性を次のように定義している。 「自然法則の対称性は、ある対象に対してある変換を行った時、その自然法則が変…

階層と段階の視点⑲ 職場で使える「可逆操作」~はじめて障害児の教育(保育)へ携わる皆さんへ

学問的なことばから実践的ことばへの変換 ~「今、持っている力」に働きかける~ 山田優一郎(人間発達研究所会員) 本ブログでは、人が赤ちゃんから大人になるまでの仕組みの概要をざっと超訳してきました。その際の肝(きも)になるのが「可逆操作(かぎゃ…

階層と段階の視点⑮ 超訳「新しい発達の原動力」~それはどうしたらわかるのか。それは障害児の教育実践にどんな視点を与えるのか

「新しい発達の原動力」の実践的理解 山田優一郎(人間発達研究所会員) 田中が発見した発達をひきおこす原動力の中に「新しい発達の原動力」1)というのがあります。「新しい発達の原動力」とは何か。まず、私が辿りついた結論を紹介します。生後第3の新…

階層と段階の視点⑬ ヒトはどのようにして、大人になるのか~「可逆操作力」と「可逆操作関係」による説明

ヒトはどのようにして、大人になるのか 超訳「階層-段階理論」 山田優一郎(人間発達研究所会員) はじめに 可逆操作とは何か。 「外界の世界をとり入れ、新しい活動をつくりだし、それを自らの内面にとりこんでいく際の基本操作」田中昌人(1990)「人…

階層と段階の視点① 発達の階層、段階という視点(はじめに)

発達の階層、段階という視点 山田優一郎(人間発達研究所会員) はじめに 「人間社会のありとあらゆるところには、自然発生的あるいは人為的な階層構造が形成されている。この社会の階層構造と同じように生物・非生物を問わず自然界にも自発的に形成される階…

階層と段階の視点④ 中世・近世日本の若者教育に学ぶ2次変換可逆操作~「基本操作」と「媒介」及び「産物」

2次変換可逆操作 「基本操作」と「媒介」及び「産物」 山田優一郎(人間発達研究所会員) 日本において中学校のはじまり(旧高等小学校)は、実に1907年1)から今も、100年をこえてなお12歳、13歳です。人々が100年をこえてなお12歳、13歳…

階層と段階の視点⑫ 新しい発達の原動力と「エネルギー保存則」 ~「生後第2の新しい発達の原動力」は、何と何を保存しているか 

対称性の原理から見えてくるもの 新しい発達の原動力と「エネルギー保存則」 「生後第2の新しい発達の原動力」は、何と何を保存しているか 山田優一郎(人間発達研究所会員) 「エネルギーは、無から生じることも、なくなることもない。『エネルギー保存則…